マサカネ演劇研究所

楽屋落書き8

☆'04.3.9放映TBS〈波瀾の人生スペシャル女優森光子83歳〉
「いま命絶えても幸せです」(名古屋CBC夜9:00)

まず、美しかった登場女優の誰よりも若く美しかった。
東山君とは四十才の差があるのだろうが、恋人といってもすがすがしく、イヤラしくなく……東山君の人柄も良いが、森さんが若く初々しく成立させている。
大苦労話しがなく、説教がなく、それでいて広い世界がうかがえ、説教がないだけに深みを見る。芸の奥義神秘性を売りものにしないからこそ、その魅力がミステリアスになる。神がかり、芸の神様でなく、芸人が昇華して、芸の華を咲かせた。現代の大女優。だれもなし得なかった、軽業師のような全部自分で出来る。つまり、新作もそして全編に出演、セリフも一番多い。こんな役者は、世界中にいない。

遠い世界の玄人。神秘的な世界に住む人――。
そんな人と毎日同じ舞台に立っている。これは本当だろうか、ここは名古屋だ、そして中日劇場で上演中だ。俺は役者だ。俺は役者だが……ほんとに役者なのか。
俺には何が出来るから役者と言えるのか。
森光子さんには、芸と才能がある――。